訴訟のパターン ①遺産をめぐる紛争(遺言のないとき)

 

 

① 遺産をめぐる紛争

A,遺言のないとき
  家庭裁判所で、「遺産分割」の調停・審判が必要です。調停(全当事者の合意が必要)が不調となりますと、審判(裁判所による決定)により決められます。よって、調停は、審判の見込みを考えながら進める必要があるということになります。

1、 一般的なこと
 相続人の「範囲」、「順序」、「相続分」は法律で決められています。
 「相続分」は、同種の相続人間では、全く平等、均等とされていることをしっかり認識する必要があります。長男だからといって優先的な扱いを受けたり、同居していないからといって減らされるようなことはありません。相続は、資産だけではなく「債務」も、相続分に応じて相続します。
 「債務」を知ることが出来ない特別な事情があったときは、3ヶ月の期間を経過していても放棄出来ることがあります。

2、 遺産の評価・分割
 遺産分割の対象となる財産の範囲が確定しますと、次に、その評価が問題となります。
 不動産を除く、預貯金・株式・動産などは、比較的評価しやすいと思われます(相続人の同意により、現実的に換価を実行してしまうと評価の食い違いはなくなります)。
 不動産については、売却又は分割などせず、一部の当事者(例えば居住者)が取得を希望し他の当事者は、金員(代償金)を取得して解決することがよくあります。
 不動産(特に土地)について、固定資産評価、路線価、公示価などを参考にして、評価額の合意が出来ればよいのですが、出来ないときは、不動産鑑定士に「鑑定」をさせる必要が生じてきます。

3、 特別受益と寄与分
 相続時の遺産を増加して計算するものとして「特別受益」、減少して計算するものとして「寄与分」があります。
 相続人が、相続分の前渡しと評価される財産を、過去に「婚姻」、「養子縁組」、「生計の資本」のために、贈与を受けたときは、相続財産の額に加算します。
 このうち、居住用の不動産の贈与又はその取得のための金銭の贈与、営業資金の贈与、借地権の贈与など、生計の基礎に役立つ財産上の給付は「生計の資本」のための贈与と呼ばれています。
 共同相続人中に、遺産の維持・増加に、通常期待される程度を超える貢献をした者があるときは、遺産から寄与分を控除し、寄与者が、控除後の遺産の相続分と共に寄与分を受け取ります。
 寄与分を主張するためには、遺産分割とは別に、「寄与分」を求める調停・審判を申し立て上記貢献を主張・立証する必要があります。