訴えの提起と応訴A

Ⅱ訴えの提起と応訴
A、訴えるか否か、応訴するかどうか

 1、財産に関する訴え(①ないし③の訴え)
   これらの訴えは、純粋に財産に関するもので、確定判決により、紛争を終わらせますから、あまりにも過度のマイナス感情(嫌悪、憎悪、恨みなど)を持たず処理するのがよいと考えています。訴えられたときは、言い分がある以上(全く請求権がないとか、限度を越えているとか)応訴するのは当然です。
   しかし、訴えるときは、
    ・勝てるか(少くとも半分を越える勝訴の蓋然性があることが必要)、
    ・裁判経費を上まわる利益の出る見込みがあるか(裁判の経済学とも言うべき事情です)、
    ・訴えることが相当であるか(正義・信義に悖(もと)らないことが必要)、
    これらを必ず検討し、訴えを提起するか、又は、訴えをやめるかを決めています。

 2、夫婦間の訴え(④の訴え)
   夫婦の一方が他方配偶者に対し、調停や訴えで、離婚(付随する手続を含む)を求めるときは、財産の紛争に関する訴えと同様に、勝てる蓋然性が高いことと、正義・信義に悖らないことは必要ですが、裁判の経済学は必要ありません。
   夫婦関係が破綻しているとき、訴えにより、婚姻を解消し人生の再出発を画ることは、人生で、最重要の目標の一つとなるからです。
   したがって、訴えるときは、訴えに足りる客観的状況があること(相当期間の別居とか、破綻理由の存在とか)にとどまらず、主観的にも、今後の人生の再出発の構想を練っているかを検討する必要があります。
   特に日本では、「性別役割分業」の意識が強く(夫が長時間働き、妻が育児や家事を担当する)第1子出産を機に、約6割の女性が、退職しています。一般的な家庭では、夫婦で支えあって、やっと暮らしをたてていますから、夫婦が袂(たもと)を分かつとなると、例えば、妻は子をかかえ塗炭の苦しみに喘ぐこととなります。妻が、自力で稼げる力がある(公務員、看護師、デザイナーなど)、別れる夫から多額の財産分与が得られる、また、養育料を受け取れる、実家から十分な援助を受けられるなど、一部の恵まれた人以外は、離婚の途端に生活に困窮してしまいますから、貧困化を克服するにはどうしたらよいかを十分に考えおく必要があります(この点に関し弁護士は何の役にも立ちません)。